5月31日〜エアコンがやってきた〜
 そういえば入居する時にエアコン付き、と書いてあったけど、いったいどこにあるんだろう、天井のファンがそうなのかなあ、と思っていたら、Tinaが「今日エアコンをつけるから」と言う。セントラルヒーティングみたいに、家中いっせいにエアコンを回すようになっているのか、さすがアメリカ、と感心しつつ、暑さ負けして昼寝をしているとノックの音。ドアを開けると、はあはあと息を切らしたTina&Chuckが、小さなエアコンを運んできたのだった。(おちょこKの部屋は3階。)ポータブルのエアコンなんて初めて。これを一体どうするのかと見ていたら、ふたつある窓の一方にうんとこしょと取り付ける二人。サイズがちょっと微妙に合わないらしく、スポンジを隙間にはさんでいる。なんだかとても原始的だけど、確かにエアコンって外にファンが回るようになっていたよなあ、と日本のクーラーを思い出すおちょこK。音がちょっとうるさいけれど、これでボルチモアの夏も乗り切れそう。(あとは短パンかなあ・・・。)

6月1日〜半分経過〜
 6月になった。これで予定の滞在期間の半分が過ぎたことになる。この3ヶ月は今まで生きてきた中でも一番「濃い」日々だったと思うけれど、このテンションをこれからも保ち続けていけるかどうかが今後の課題。渡航前は半年なんて短いと思っていたのに、実際にやってみると長かったというのが本当のところ。あと3ヶ月無事に乗り切れるかどうか、はっきり言って少々自信がない。貯金通帳の残高もみるみる減っていくし・・・。(弱気モード。)
 やりたいこと、やらなければいけないことが多すぎてパンク状態、と以前書いたけれど、限られた日々なのだから、できることからひとつずつ確実にこなしていくしかないのだ、とこの頃は思う。帰ってからのことを考えるとこれまた気が重くなるけれど、この体験をきちんと生かすためにはいたずらに焦るよりも、「今を生きる」ことが何より大事なのだとも思う。
 ようやく折り返し地点に来たところだけれど、ひとまず、この日記を楽しみに読んでくださる「読者」の皆様にお礼を申し上げます。残りの日々もベストを尽くしますので、今後ともご愛読ください。(フォーマル・モード。でもホント感謝してます!)

6月2日〜別れと出会いの季節〜
 ルームメイトのDanielleが突然出ていくことになった。彼女の友人が急にルームメイトが必要になったらしく、話を聞いたTinaもちょっとびっくりしていたよう。もうひとりのルームメイトJanetteもニューヨークに仕事をみつけて新しいアパートが決まり次第ここを出ていくので、一気にふたりも住人がいなくなることになる。ふたりともいい人だったから、ちょっと残念。と言いつつ、おちょこKもあと3ヶ月すれば去っていくことになるのだけれど。6月は卒業シーズンということもあって、いろいろと生活が切り替わる時期なんだろうなあ。
 昨日からTamaraの仕事を引き継ぐDrewがオフィスに来ている。(Tamaraの職探しも順調なよう。)今までTamaraが座っていた椅子にDrewがいる様子を見ると「何事も変わらないままでいるということはないんだなあ」としみじみ。

6月3日〜ローカル・ゴスペル・ナイト〜
 ボルチモアのタウン誌CITY PAPERに載っていたMount Vernonのイベントにでかけた。どうも毎月第一木曜日に、エリア一帯でいろいろと催し物をやっているらしい。(おちょこK的な)目玉は、Enoch Pratt Free Libraryのゴスペルコンサート。黒人が多いボルチモアでゴスペルが聴けるなんて、とワクワクしながら出かける。図書館に到着してみると、かなりゴージャスな建物。1930年代に建てられたものらしく、メインエントランスのホールはやたらに天井が高い。(音響抜群!)出演はPop and the Gospel Sons。地元のグループなのかどうか今ひとつわからなかったけれど、BBキング風、サミー・デイビス・ジュニア風、サミュエル・ジャクソン風、デンゼル・ワシントン風(あえてたとえればの話)という構成で、バックバンド付き。しかし、白いスーツに黒シャツなんて、黒人じゃなきゃかっこよく着こなせないよなあ。素敵。お客(50人くらい)もほとんど黒人で、それなりにおしゃれしてきているのがこれまた素敵。ゴスペル独特の高揚感あるリズム、最後はアカペラでしめ、あまりのすばらしさに唯一のアジア系おちょこKも大拍手。これが無料(しかもお菓子とレモネード付き!)なんだから、嬉しいやらもったいないやら、とにかく太っ腹だ。図書館そのものも今度探検しに来よう。
 例によってなかなか来ないバスを初夏の夕風に吹かれながら待つ間、ふと「夕涼み」という言葉を思い出した。なんだかものすごく「贅沢」な時間。

6月4日〜AmeriCorps〜
 クリントン政権がPeaceCorps(ケネディの遺産)の向こうを張って始めたAmeriCorps。ものすごく簡単に言ってしまうと、海外青年協力隊の国内版みたいな感じの学生向けプロジェクトで、Debra曰く「目的意識の高い優秀な学生が多く参加している」ので、人材大募集中のVRGにとっては格好のターゲットらしい。今日は、ボルチモア郊外のMaryland Universityのキャンパスの一角で、AmeriCorps終了予定の学生向けの就職&再進学説明会があり、それにVRGも参加。キャンペーンにもすっかり慣れたおちょこK、「VRGっていうのはこういう団体で・・・」なんて説明もできるようになった。VRGの他には、Peace Corps、AIDS Interfaith Residential Services、Big Brothers Bis Sisters(アメリカでは有名なボランティア活動。主に黒人貧困層の子どもたちを「健全な」道に進ませるようケアする)など、全部で約20団体が参加。Marine CorpsやBaltimore City Police Department(ブースにいたおまわりさんがVegetarian Journalをもらいに来た)の名前もあったが、ほとんどはボランティア関係の団体。日本ではボランティアというとまだ「お手伝い」というイメージが強いけれど、今日来ている人たちはどちらかというと「バリバリのプロフェッショナル」という雰囲気。これはAmeriCorpsの学生たちも同様で、「どんなことをしているの?」と聞くとものすごく長い答えが返ってくる。中のひとりと話していて「飢えている人の世話をしている」という返事があって、「え?アメリカに飢餓?」と聞き返すと、「私もこの活動に参加する前は知らなかったけれど」という前置きつきで、貧困層の母子が飢えに苦しんでいるケースが多いと説明してくれた。他にも、文盲撲滅活動に関わっている人がいたりして、未曾有の好景気に沸くアメリカの「影」の濃さをかいま見た気がした。

6月5日〜日和下駄 in Baltimore〜
 朝のラジオでも"absolutely beatiful!"と言っていたけれど、本当にその通りの素晴らしい、さわやかなお天気。なんとなく裸足でいたい気分だったので、下駄履きで土曜日恒例のファーマーズ・マーケットに出かける。何でも今日が最初の「Summer Farmer's Market」らしく(本来ファーマーズ・マーケットは夏のもの)、今まで見なかったドライフラワーを売る店なども今日は参加。とは言え、手持ちの現金が4ドルくらいしかなかったので、財布のひもを引き締めつつ見て回る。今日の戦利品は、ラディッシュ(一束)75k、スイスチャード(緑黄色野菜の一種。はすの葉っぱ大)一束75k、コリアンダー(一束)50k、いちご1パック1ドル75k、ライム1個25k。う〜ん、満足。ファーマーズ・マーケットでは油断するとついいろいろ買ってしまうので、今日みたいにちょっとだけ現金を持っていくというのが賢いのかも。(倹約、倹約。)
 今週末はCharles Villageのお祭りで、パレードがあるというので、そのままぶらぶらとCharles Villageの方まで歩く。パレードは、地元のカフェ、市長選に出馬する政治家、コミュニティの子ども達なんかに混じって、"Jamie's Way"というWeb Drama(ボルチモアを舞台にボルチモアの俳優を配して撮影されているらしい)の車も。別に派手な仮装やフロートがあるわけではないけれど、こういう地元の人だけのパレードっていうのも、なんだかアットホームでいいなあ。近くの銀行で現金をおろして、前から入ってみたかったカフェDonnaのオープンテラスでSan Pergrino(2.45ドル。散財!)を飲みながら、昼下がりのひとときをしばし楽しむ。

6月6日〜ご近所自然探検〜
 今日もさわやかな陽気なので、午前中、前にTinaが教えてくれた近所の公園にでかける。ここは公園というよりは「庭園」で、本当は個人所有らしいのだけど(だから地図に載っていない)一般にも公開されているとのこと。なかなか読み終わらない本と辞書を抱えて、これはと思う木陰で読書。虫がしょっちゅう寄ってくる他は、しごく快適。人通りも少なく、静か。ふと目を上げると木々の緑、そして鳥のさえずり、と気分転換にももってこいで、部屋で読むよりずっと集中できた。(おかげで読了。)よく見ると、樹にはプレートがかかっていて、White Oak, Red Maple, London Pratanus,Hickoryなどと書かれている。なんだか名前がわかっただけで、ぐんと樹に親近感がわくから不思議。この辺には綺麗な小鳥も多いから、今度名前を調べてみようかな。




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