6月14日〜貴重なルーティーン〜
 生活が落ち着くということは、ルーティーンな日常が訪れるのと同じなのかもしれない。朝8時過ぎに起きて支度をし、シリアルをかきこみ、夕べの残り物をバッグに入れてオフィスへ向かう。徒歩15分、9時頃にオフィスに着き、今日やることをチェックし、コンピュータをつないでメールを確認。午前中は自分の仕事にかかり、午後何か手伝えることがありそうだったら他のみんなの仕事をヘルプする。最近はランチもお弁当持参なので、その間外に出ることはなし。5時頃オフィスを出て、必要があればスーパーまで足をのばす。早めに帰宅できればその日の日記を書き、そうでなければ夕食作り。しばらくの休憩の後、英語の勉強。12時〜1時頃に就寝・・・これが最近の平日のパターン。職場や台所での会話以外は、一日のほとんどをひとりで過ごすので、メールがなければきっともっと孤独にさいなまれていただろうなあ、と思う。友達・同僚との何気ない会話(日本語!)がどれだけ安心感を与えてくれていたか、あらためて実感。この頃は、SamuelやSpatsの存在がしみじみと有り難い。(子どもや動物は見ているだけで心いやされる。)
 けれどもこんなルーティンな日々も、あと何日過ごせるだろう。7月は出張で2週間ほどボルチモアを留守にするし、8月は撤収作業で落ち着かないはず。限られた「何もない日々」を大事にしなければ・・・。

6月15日〜久々にご機嫌ななめ〜
 オフィスで突然、コンピュータがVRGのネットワークにつながらなくなってしまった。数時間前には問題なくプリンターに接続できたのに・・・。確かに今日はマイパソコンの調子が今ひとつで、2度ほどフリーズしていたし、ネットワークコードをつなげずにプリントアウトボタンを押してしまい、さらにはプリンターがPower Saveになっていたのも、もしかしたら関係あるのかもしれないけれど、再起動しても、コードをつなぎ直しても、プリンターをリセットしても、まったく反応なし。Darにヘルプを頼み、いろいろとチェックしてもらって(何がどう、というのは説明できないけれど)、ようやく元通りになる。この間、5回くらい再起動してしまった。(大丈夫かなあ・・・・。)コンピュータのトラブルは本当に心臓に悪い!!!(誰か、コンピュータのご機嫌の取り方を知っていたら教えてほしい!)

6月16日〜客人来る〜
 フロリダでやはりインターンをしていた美和さんが来訪。彼女は研修期間を終えてただ今アメリカ各地を旅行中。フロリダからボストン、DCを回り、夕方のアムトラックで無事ボルチモアに。ちょうど仕事もあんまりない時期なので、彼女の滞在中(3日間)休みをもらう。(やった!)これを機会になかなか行きたくても行けなかった、ボルチモア交響楽団のコンサートにおつきあいしていただく。ちょっと着飾った人々(おちょこKもアメリカに来て初めてヒールのある靴を履き、ワクワク)、クラシック・ミュージック・ホールの香り高い雰囲気、久しぶりのカルチャーにしばし興奮。指揮は、Pinchas Zukkerman、演目はモーツァルトにヴィヴァルディの「四季」と、軽く聴ける作品で、まさに心にうるおいを与えてもらった感じ。一番安い席$15でも満足、満足。帰りにタクシーを電話で呼ぼうとしたけれど、なかなかつながらず、結局歩いて5分くらいのアムトラックの駅まで行って車を拾う。(車がないと不便だなあ!)夜食に「よし田」のおそばをふるまう。

6月17日〜同胞 in Baltimore〜
 生憎の雨模様にもかかわらず、美和さんは「アメリカに来て一日雨なんて初めて!このしっとり感がいい!」と喜んでくれる。彼女は乳ガンのメーリングリストに入っていて、その関係で知り合ったお医者さんがメリーランド大の医学部にいるということが急遽わかり、お昼をご一緒する。ボルチモア在住の日本人と話すのは初めて。実はえらい先生なのだけれどとても気さくな方で、ご専門の研究の話からこちらで手に入る日本食などについて情報交換まで、気が付けば4時間以上話しこんでしまった。メリーランド大の病院は州立なのに、回転ドアにブーケが飾ってあったり(?!)、まるで病院とは思えない、ちょっとショッピングセンターのような華やかさにびっくり。
 夕食は、やはりビジネスインターンで1ヶ月前にボルチモアにいらした英子さんと。彼女はアイルランドで一年間スクールインターンも経験していて、それからまたこうしてアメリカにやってくるという勇気とたくましさに敬服。英子さんの職場はMount Vernonのど真ん中にあり、会社の寮もオフィスから徒歩30秒、リンカーンも泊まったという由緒のある建物はまるで映画のような趣。こうして他のインターンの方の暮らしぶりを見るのも、いろいろな生活があるんだなあ、とおもしろい。
 ボルチモアも留学生や何かで日本人がいないはずがないのに今まで街で見かけることがほとんどなかったので、今日は二人もここで暮らす同国人に会えて、なんだかとてもホッとしてしまった。

6月18日〜駆け足観光ツアー〜
 今日は晴れ間ものぞく、さわやかな陽気。ボルチモアに来たならとりあえずハーバーを案内しなくっちゃ、と、ウォータータクシーに乗って、Fells Point、Federal Hillへ。もう少し時間があれば、ベジタリアン・フレンドリーなカフェでお茶もできたのだけれど、ボルチモアのヒストリカルな、しかもまったく表情の違うエリアの中に身を置くだけでも、この街の空気感を味わってもらえたみたい。立ち去りがたそうに、デジカメにひとつひとつの風景をおさめていく美和さん。彼女は夕方5時のアムトラックでニューヨークへ旅立っていったけれど、同じインターンということで、こういう素敵な出会いがあるのって、いいものだなあ。久しぶりに日本語メインの生活を送れたし、「アメリカ人ってなんでこうかねえ」みたいなちょっと憂さ晴らし的な話もできたし、それに何より、がんばってる人を見ていると「私もやらなくちゃあ!」といい刺激になる。Funny Townボルチモアを楽しんでもらえて、よかった。

6月19日〜アジアはひとつ?!〜
 毎月第3土曜日はVRGのボランティア・デー。今週は水・木・金と休みをもらったことでもあるし、お手伝いにでかける。ボランティア・デーには常連のメンバーの他、毎月ひとりやふたりは新しい顔ぶれがあり、今日は総勢10人ほどが集合。スタッフだけではやりきれない大量の事務作業が主な仕事になるのだけれど、同じ「ベジタリアン」の人と会話を楽しむといった社交もボランティア・デーの大きな要素。おちょこKも、今日初めて会った、イグアナの大きなプリントがしてあるTシャツを着た女性と話がはずむ。彼女はもうリタイアしたものの、今まで職を転々とし、履歴書が1メートルくらいになるほどの数の仕事を体験してきたとか。(モデルとガードマンの両方をやったことがある、というから、そのバラエティはおして知るべし!)ベジタリアンになったのは動物愛護精神から。彼女自身はは虫類(本当にイグアナを飼っているそう)が特にお気に入りらしい。話の節々で「パンダは日本にいるのよね」とか「犬を食べるのは中国人だったかしら、日本人だったかしら」はたまた「相撲レスラーは・・・中国人?」などと、ああ、まだまだ日本も中国もごっちゃになってるアメリカ人が多いんだなあ、と実感させられる発言があり、その度に「いや、これはこうこうで・・・」と説明する。「中国人は犬を食べる」という話をする場合、それだけだとただ野蛮な印象になってしまうので、「中国はとにかく人口が多いから何でも食べないとやっていけない」(最近は豊かになって豚肉の消費が増えている、ということも付け加えつつ)と言うようにしているのだけれど、「ところで中国と日本とどっちが人口が多いの?」と彼女。「日本はカリフォルニアと同じくらいの大きさだ」と答えて、いたく驚かれる。
 ボランティア・デーはいつもメンバーでディナーを共にするのだけれど、現金もないし、ここ数日さぼっていた英語の勉強もしなければいけないので、今日は遠慮させてもらう。(ちょっとスクエアだったかな・・・。)

6月20日〜雨が降る降る、ボルチモア〜
 ここのところ、よく雨が降る。今日も一日雨。ちょっと前までの暑さが嘘のような肌寒さに、一度しまいこんだベッドカバーをあわてて取り出す。6月は「英語月間」と決めているので、文法のテキストブックを地道に勉強。単語もそうだけれど、やはり文法構造をきちんとおさらいしておくと、ちょっとした会話で「うーん、時制はどうなるんだっけ」などとまごつかずにすむし、読解力もぐんとアップする。(最近、グリシャムがすらすら読めるようになって嬉しい!)午後はVRGに書く次の原稿のチェックをし、これを機会に辻静雄さんの"Japanese Cooking A Simple Art "を読み直して、自分の原稿で伝え切れていないところ、それから卵やだしをどんな料理に使うかを確認する。にしても、魚がダメっていうのは日本食を楽しんでもらうには辛いなあ、と改めて思う。でも日本には精進料理の伝統もあるのだし、ベジタリアンとの接点も工夫次第ではみつかるはず。非力ではあるけれど、Vegetarian Journalの読者になんとか和食に興味を持ってもらおうという願いをこめて、原稿を書く。


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