3月22日 〜突然の嵐〜
 朝オフィスに行ったら、CharlesとDarが何やら言い争っている。なんだなんだ、と思っているうちに、ミーティングが始まった。もちろん、おちょこKは蚊帳の外。ちょっと涙ぐんでいるDarがやってきて、「ストレスがたまっちゃって、もうダメなのよ」といったようなことを言っている。詳しく聞いてみると、仕事が忙しすぎて(たぶんそれに見合うペイではなくて)燃え尽きてしまった感じで、けっこう似たような原因で辞めていったスタッフも多いらしい。うーん、確かに理想だけではやっていけないよなあ。Darは今にも辞めそうな感じだったのが、しばらくパートタイムで、ということで落ち着いたらしい。彼女は前から引きのあった、もっとペイのいい職(コンピュータ関係)をみつけたそうなのだけど、その分Davidaに仕事がまわってきてしまい、今日はみんなてんてこ舞いだった。今のところは何もできないおちょこKは、Jessicaの発送作業を手伝ったりする程度が関の山。ちょっと情けない。
 午後、広告でみつけたアパートを下見に行った。ロケーションは最高。オフィスにも徒歩圏内だし、ショッピングセンターも近いし、バスも通ってるし、とりあえず車のないおちょこKには理想的。安全なエリアだし。問題は2つ。ひとつは、電話のジャックが部屋にない! 電話会社に聞いたら80$以上かかるらしい。 そこんちの人が「僕でもつけられるよ」と言ってたけど本当かなあ・・・。もうひとつは家具がいっさいないこと。せめてマットレスだけでもどっかから調達しなくっちゃ。2人のルームメイトとキッチンとバスルームをシェアすることになるので、顔合わせを申し込むが、大家さんはあんまり重要視してない様子。これって、もしここに住んだらある日突然見知らぬ人がやってくるってことだよね・・・。それもちょっと気になるなあ。ルームメイトとのアポイントメントをとりつつ、他ももう少し当たってみることにする。

3月23日 〜エクササイズ・デイ〜
 引き続き、オフィスはバタバタしている感じ。やることがない訳じゃないけど(資料を読んだり、パンフレットの翻訳をしたり)、今日はとりあえず家探しに専念。午前中、昨日見に行ったアパートの先住者と面会。近くのLoyola Collegeの女子学生でとっても感じのいい子。ただし、5月には引っ越してしまうらしい。どうしようかな、と思いつつ、近所のショッピングセンターを下見する。それにしても、チョコレートひとつ買うにもVegan用を選ぶのは難しい。(ミルクが含まれてないものは本当に少ない!)通勤路も確認したかったので、オフィスからアパートまで往復40分くらい歩く。今日は暖かくて、本当にいい陽気。リスを5匹も見かけて嬉しくなってしまった。
 午後はJessicaにJohn Hopkins Universityの近所まで車で送ってもらい、スーパーや銀行の掲示板でルームメイト募集の貼り紙をチェックする。このあたりはいかにも学生風な若者が多く、エリア的にも住み良さそう。大学のハウジングオフィスでファイルもチェックし、VRGまで歩いて帰る。やはり徒歩25分くらい。オフィスからいくつか電話をし、2つアポイントメントをとる。(早く決めたいよ〜。)
 夕方、Tamaraがずっと誘ってくれていたジムに同行。彼女は週6日通っていて、そのうち5日はエアロビ1時間のクラスをとっている。なんて健康的! おちょこKはとりあえず、トレーナーにマシンの使い方を教えてもらうが、一度にそんなにたくさんできないので、Tamaraを待っている間ちょっと手持ちぶさた。それでも明日はきっと筋肉痛・・・。

3月24日 〜仕事らしい仕事〜
 今日はVRGに来てから初めて、と言っていいほど、ちゃんと仕事をした気分になれた日だった。もちろん、原稿を書いたり、資料を読んで英語を勉強したりすることも、今できる「仕事」のひとつなのだけど、みんな忙しそうにしている中で何も手伝えないというのはやはりちょっと辛い。
 主にDavidaのお手伝い。40人くらいのボランティアのメーリングリストを作ったり、VRGのサイトの新しいページを作ったり(このページ作りが初めて仕事の役に立った!)、といったことだ。ボランティア・ファイルのメールをざっと読むと、みんな「私はこれこれの学位を持っていて、何々の専門分野がある」「私はこういった仕事の経験が何年ある」など、とても具体的に自分のできることを書いてきていて、アメリカではボランティアといえども高いスキルが要求される時はこんな感じなのか、と思わずうなる。全員がヴェジタリアンとは限らないけれど「興味のあることだから何かしたい」という気持ちだけで(無償で)自分の能力を提供しよう、というところ、ボランティア活動が「あたりまえ」な風土を実感させられる。
 2つめの原稿がDebraから戻ってくる。何度も確認したにもかかわらず、相変わらず初歩的な文法ミスが多く(コンピュータのチェックって本当に不完全だ)、まだまだ道のりは遠い。とはいえ、内容的にはVery Goodのコメントをもらえたので、その点はなぐさめ。

3月25日 〜不発弾〜
 10時半のアポだと思っていたのが10時だった、というお間抜けなミスをやらかしたおちょこK。アパートの前で30分も待ってしまった。電話をすると、見るはずだった部屋は今住んでいる人の退去予定が延びて、入居まであと1ヶ月かかるらしい。ほかにも部屋はあるらしいけど、ちょいと高い。明日のアポの家も近くなので、外見だけ下見。カントリー風な趣味が感じられる、かわいいお家だ。うううん、なんとか明日で決まるといいなあ。近所のスーパー(だいぶ様子ものみこめてきた)で、Veggie SUSHI、醤油(キッコーマン)、ごま油をゲットし、帰りはバスを利用。
 Veggie SUSHIは、アボガドと人参の巻きずし。本当は魚のお寿司が食べたかったのだけど、さすがにVRGのみんなに遠慮して、Vegetarian寿司にしたのだ。でも、意外といける味。やっぱりお米はおいしいなあ! ガリには涙が出てしまったくらい。みんなにも「おひとつどうぞ」とおすそわけした。なんでもDavidaは以前、わさびをアボカドペーストと間違えて大量に食べてしまった悲惨な経験があるらしい。言われてみれば、確かにそうも見える・・・でもきっと本わさじゃなかったんだろうなあ。ああ、彼女を本当においしい日本のお寿司屋さんに連れていってあげたい!(でも魚がダメなのは問題ありかしら・・・。)
 夕方は再び、Tamaraにつきあってジムへ。多少汗もかき、なかなか爽快!

3月26日 〜明るい兆し。そして、ささやかな夜遊び〜
 Davidaの手伝いが一区切りついたので、今日はVRGのパンフレットの日本語訳に専念。文章そのものはともかく、日本にない食材・料理名が多く、どうしたものやら頭をかかえる。辞書に載ってない単語ばかりだし。本当に、食関係のいい辞書ってないんだよなあ。(どなたかご存じですか?)とりあえず、身近でない食材のリストを作って、自然食品店で確認することにする。
 今日の下見のアポは2軒。最初の1軒は、なんとあのジョン・ウォータース監督の家と目と鼻の先。大家さんもいい人そうだし、部屋の感じも前見た所より断然いいし、マットと机が確保できるのも素晴らしい。大家さん夫婦の他に間借り人が2人いるので、週末中に面会することにして、次の家へ。ここは昨日外見チェックした所。中へ入ると、ちょっとアンティークな調度品が趣味の良さを感じさせるインテリア。借りる部屋は西向きだけど、ゴージャスなベッド、大きなテレビ、机、ドレッサー、電話付き。こちらの家は大家の女性だけが同居人で(プラス彼女の犬3匹と猫1匹。楽勝)、気楽と言えば気楽だ。フリージャーナリストを目指していると話すと、それまでちょっとよそよそしかった大家さんの態度が一変し、「私も今は小学校の教師をしているけれど、若い頃ジャーナリストになりたかったのよ」と口がなめらかに。しかも前からベジタリアンになろうとしてなかなかなれなかったという話になり、すかさずVRGのパンフレットを送る手はずを整える。(早くも”布教”活動!)今までなかなか進まなかった部屋探しが、ここに来て一気に好条件の家が2つもみつかり、期待度がぐんぐん高まる。
 Darがコンサートに誘ってくれたので、夜はボルチモアの郊外TAWSONにあるライブハウスへ。Darはミネソタから彼氏が来ているので、とっても幸せそうだ。(うらやましいぞ!)バンドはカントリー・フォーク。前座も本命(Seldom Sceneという20年以上のキャリアがある地元バンド)もおっさんばかり。ジャンルそのものは趣味じゃないにしても、中年おやじが嬉しそうに演奏している姿を見るのはいいもんだ。久しぶりの紫煙とアルコールの香りが、なんだか懐かしい。前座の時間帯は6割くらいの入りだったが、Seldom Sceneの番になると立ち見も出るほどの盛況ぶり。キャパからすると400人くらいだろうか。年齢層は老若男女と幅広く、みんなけっこうラフな格好で来ている。(まあ、カントリーだから。)にしても、これだけ黒人が多い街なのに、客は白人ばかり。(まあ、カントリーだから・・・あんまりCoolじゃないよねえ・・・。)人種間の文化の棲み分けみたいなものを、ちょっと感じてしまった。言うまでもなく、オリエンタルはおちょこKのみで、「紛れ込む」という言葉が本当にしっくりきた。
 ライブの後、ダウンタウンにある、Veganチョコレートケーキが食べられるカフェまで車(運転はDarの彼)を飛ばす。VRGのみんなから噂には聞いていたのだけど、チョコレートケーキの他にもいろいろVegan用メニューがあって、そうでなくてもなかなか素敵なお店だ。(2階には古本屋!)夜のダウンタウンは初めて。エリアにもよるのだろうけど、ポツポツと人通りもあり、それほど危険な匂いはしない。これまた久しぶりの「夜の都市」の空気を思わず深呼吸する。午前1時帰宅。

3月27日〜VEGAN通販〜
 服、靴などのファッション、食品から化粧品まで、Veganグッズがすべて揃うお店がある、ということで、JessicaとJessicaのボーイフレンドWesとワシントンDCの近くまで出かけた。こぢんまりとした店内には、ほんと、Veganなら涙を流して喜びそうな品揃えの豊富さ。VRGの輪の中にいるとなかなか感じないけれど、全体から見ればマイノリティだから、こういう専門店は必要なんだろうなあ。フェイク・レザーの靴はなかなかおしゃれ。イギリスのメーカー(VEGAN SHOES)の製品で、ブーツなら75$くらい、とお値段もまあまあお手頃。ファッション関係では、フェイク・レザーの他、ヘンプ小物(バッグやお財布、靴)が目立つ。化粧品も、AUBREY(日本では気づかなかったけど、VEGANマークが)などバラエティ豊かなラインナップ。通販をやっていると聞いていたので、カタログをもらう。残念ながら日本への発送はしていないそうだけど、こっちにいる間には使う機会があるかも。今日はとりあえず、VEGANドーナツを試食用にゲット。

3月28日 〜犬に目覚める〜
 SPCAという動物愛護団体主催の「ペットマーチ」に誘われて、Jessica&Wes、そしてJessicaの愛犬Zoe(雌)とJohn Hopkinsのキャンパスへ。「ペットのマーチ」と言っても、ただキャンパス内をペット(といってもさすがに犬以外の動物と歩いてる人はいなかった)と一緒に歩くだけ。でも、1.5マイル(約2km?いつも度量衡の換算には混乱します)、いろんな種類の犬を見ながら歩くのは、けっこう楽しい。Zoeの手綱(?)もひかせてもらい、犬の散歩ってけっこう楽しいものだということを発見。こっちに来てから猫と接する機会が圧倒的に多かったけど、犬もかわいいなあ。
 午後2時、ジョン・ウォータースのご近所の大家さん夫婦(Tina&Chuck)と面会。他の間借り人は、あいにく出かけてしまっていて、月曜日に一応もう一度訪ねることにするが、4月1日から住むことにほぼ決定。(やったあああああああ!)Chuckは松濤館空手の茶帯(どれくらいのレベル?)で、「一、誠の道を守ること」といった道場訓を読んで聞かせ、自分の発音が本当に正しいかどうか試してくる。はっきり言って、何言ってるのか全然わかんないのだが、なんだか楽しい感じのおじさんだ。
 夕方は、TowsonのBordersという本屋さんに出かけ、Jessicaと3時間くらい過ごしてしまう。Barns&Nobleに行った時はみつけられなかった、食や栄養に関する本を大量にみつけ(しかもディスカウント)、住む部屋が決まった勢いもあって、200$くらい使ってしまう。でも、必要経費なのは確か。それにしても、日本で洋書は高いイメージを持っていたせいもあるけど、こっちの本は安い!写真が大量に使われているハードカバーでも30$くらいだもの。日本の本だったら、確実に5000円くらいはするだろうなあ。
 夕ご飯も、Mr.ChenというVRG御用達のおいしい中華料理店だったし、今週は本当に楽しい週末を過ごせて満足満足。元気になれて、嬉しいな!(苦あれば楽あり!)


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