8月30日〜あこがれのプール付き豪邸〜
ボストンからフロリダ北部のGainsvilleという街へ飛ぶ。父の長年の友人、Mesterさん夫妻が去年ロスからフロリダに引っ越しをし、新築の家に家族ぐるみで招待されたのだ。完成するまで8ヶ月かかったという家は、「素敵なアメリカ生活」を絵に描いたような豪邸。プールはもちろん、美術館のように白い壁に絵が飾られ、最新のシステムキッチン、3ベッドルーム&バスルーム、オフィス、(孫が来た時用の)子ども部屋、ダイニング、リビング、ウェイティングスペース・・・これで5千万円くらいらしい。(嘘でしょ!!)もうどこにも行かないで、ひたすらこの家でダラダラしてたい気分。
8月31日〜ワニの楽園〜
Gainsvilleの中心は、なんといってもフロリダ大学。街の中心部をキャンパスが占め(とにかく広い!)、人口の半分が学生及び大学関係者。全米でも強豪の大学フットボールのチームのシンボルはワニで、Alligatorを縮めてGatorがチームの愛称らしい。しかも、キャンパスには数百匹のワニが棲息する池があり、「危険なのでえさをやらないでください」などと書かれた看板が・・・そんな危ないものをどうして大学においてるんだ! でもこの辺りの人々にとってはワニはペット同然の親しみがもてる動物らしく、車のステッカー、店の看板などありとあらゆるところにワニがキャラクター化されている。そういえば、環境ホルモンの研究者で、ペニスが極端に小さくなったワニを調査している有名な学者はフロリダ大学の人だったっけ。ワニもさることながら、ワニ池の向かいにはこうもりハウスがあり、5万匹のこうもりが棲んでいるらしい。Mesterさんは「クレイジーな環境保護主義者が多くて、家の敷地の木一本も勝手に切れない」とこぼしていたけれど、所変われば保護する対象も変わってくるんだなあ。(なにせ、ワニとこうもり。)この1週間の滞在で、果たしてワニ君にお目にかかれるのだろうか?
9月1日〜今日はペリカン〜
90度台前半とフロリダにしては涼しい気候なので、車で1時間ほどの海辺の街まで出かける。平日なので人出もほとんどなく、釣り人が糸をたれているくらい。なんだか大きい鳥がいるなあ、と思ったら、ペリカン。しかも茶色。(ペリカンと言えば白いと思っていたけど、この辺のは茶色が普通らしい。)島巡りのボートに乗って、フロリダ大学が所有する野生動物保護区に上陸。ここにもペリカンがいっぱい。ワニと違って、わりと傍まで近づけるし、向こうも人間慣れしているのか、あまり動じる気配がない。
夜は、Mesterさん宅のジャクージにみんなで入る。やっぱり”深いお風呂”はいいなあ!
9月2日〜アメリカン・ショッピング・デイ〜
朝ご飯は、南部スタイルのレストラン・チェーン、Cracker Barrelで。料理もおいしいけれど、ここのすごい所は徹底した商売根性。お土産やを通らないとレストランには入れないようになっているし、カタログがトイレ(ちなみに女性用のみ)にまで置いてあるのにはびっくり。ハイウェイの出口そばがロケーションというのも賢い。Mester夫人曰く「ここは卵の数が選べるのがいい」(普通は2個なのを1個にできる。値段も安くなる)。なるほど。
日本へのお土産もあるし、ということで、みんなで近くのショッピングモールへ。このモールは大きなデパートが5軒プラス専門店、通りをはさんではディスカウントストアと、アメリカンサイズ。おちょこKはお金もないし荷物になるので何も買わなかったけれど、両親は「こんなに買い物する人たちだったっけ」と目を疑うほど、大きな紙袋をいくつも抱えて帰ってきた。確かに安いからなあ。日本で買い物すると、ちょっとデパートを見ただけでもすごく疲れるけどここではあまり感じないのは、すべてがゆったりしていて人も少ないからかしら。
9月3日〜シナゴーグ〜
Mesterさん夫妻はユダヤ人。Gainsvilleにもユダヤ人協会があり、教会(シナゴーグ)に連れていってもらう。ユダヤの星の他はほとんどなんの飾りもないシンプルな内装に、偶像崇拝を徹底して嫌うユダヤ教の特徴がみてとれる。集会場の壁には、燃やされる本から言葉が空へ飛んでいく絵が。どんなに迫害を受けても、精神は残り、受け継がれていくという意味らしい。「私たちはキリストを信じていない」と言われてちょっとドキッとする。いくらお祭り騒ぎだけのクリスマスといっても、そうした慣習を受け入れることで、日本人はキリスト教に影響されているんだなあと思う。(ちなみに、ユダヤ教では12月にハヌカを祝う。)それに比べると、ユダヤ教に関する知識は格段に少ない、というか知る機会がない。Mester夫人に「東京に暮らしていた時、Kosher(ユダヤの食のルール)を扱う店はあったか」と聞いたら、軍経由でしか手に入らなかったそうだ。BaltimoreではスーパーでもKosherコーナーがあるのに!
9月4日〜軽井沢 in Florida〜
Gainsvilleはフロリダ北部にあり、ディズニーワールドがあるオーランドまでは車で3時間、マイアミまでは5時間の距離。日本の感覚で言うと、フロリダにいるならディズニーワールドやマイアミビーチにすぐ行けるような気になるけれど、本州とほぼ同じ位のサイズなのだから、やはりアメリカは広い。(逆に、アメリカ人の感覚では東京〜京都なんてお茶の子さいさいでドライブできる距離なのかもしれない。)木も松(ものすごくまっすぐ)が多いし、椰子の木があってもあまり育たずCabbage Palmと呼ばれているほど。冬はさすがに雪はめったに降らないものの、霜はおりるし、セーターが必要なくらいは寒くなるそう。Mesterさんの家の庭の木陰でベンチに座っていると、心地良い涼しさに思わず軽井沢を思い出してしまう。レイバー・デイの週末で観光地は混雑していることもあって、今日もそんな”リゾート”でのんべんだらりと過ごしたのだった。
9月5日〜オーバーウェイト〜
この1週間ほとんど歩いていない。台所の手伝いくらいはするけれど、たかがしれた運動量。ボルチモアにいた頃は部屋が3階だったし、毎日アップダウンのある道を片道15分歩いていたので、自分でもなんだか身体がなまった感じがする。その上毎日3食(だいたいデザート付き)ちゃんと食べるので、大分顔が丸くなった・・・両親は食が細くなってあまり量が食べられないので、「出されたものはできるだけたくさん食べなくちゃ申し訳ない」という気になって、ついつい食べ過ぎてしまうのもひとつの原因。Mester夫人が「今週は2キロ増」というのだから、たぶん同じくらいお肉がついたんだろうなあ。フロリダ生活はかくも優雅で危険。このゆったりした空気の中で学生はよく勉強できるものだと妙なところで感心する。
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