6月7日〜こまどり防衛作戦〜
家の裏庭にある木蓮の木に、こまどりが巣を作ってひなを育てている。こまどり・・・マザーグースぐらいでしか聞いたことがないけれど、日本にはいるのだろうか。(ちなみに、英語ではrobinと言う。)鳩よりちょっと小さめくらいの大きさ。うす茶色の羽に長めの尾。生い茂った葉に隠れてひなの姿は見えないけれど、餌を求めてチュンチュン鳴いているのは良く聞く。ただ、この鳴き声はひなを餌とねらう外敵にとって格好の目印になるらしく、時々、烏がやってきては疑わしい行動を繰り返している。そういう時は烏から目を離さずに「ちゃんと見張ってるぞ」というのをアピールするのだけれど、今日、台所で料理をしていてハッと気がつくと、烏が巣のある枝にとまっている!親鳥は恐れをなしたのか、テラスで所在なげにしている。こいつは大変とばかりに、"No!!"と声を出して烏を追い払う。
テラスでビールを楽しんでいたChuckが何やら騒いでいるので、どうしたのかと覗いてみると、木蓮の根元に猫が一匹。聞くとこいつも怪しげな動きをしていたらしい。家のSpatsは高齢でよたよたしているのですっかり忘れていたけれど、そういえば猫は樹に登れるんだった・・・世の中にはベジタリアンの猫もいるというのに。(それが猫にとっていいかどうかは別として。)ChuckもおちょこKも昼間は仕事だし、Tinaもずっと台所にいるわけじゃないから、果たして無事にこまどりのひなたちが育つかどうか心配・・・・。
6月8日〜ヒートアップ〜
ここ数日、ボルチモアの気温は90度台。もちろん華氏でだけれど、今もって華氏を摂氏にすぐ頭の中で変換できないので、「80度台ならまあまあ(摂氏だと30度以下)」「90度・・・今日はかなり暑い」と大まかな判断でなんとかやっている。ついこの前まで60度台で「なんだか肌寒いなあ」と思っていたのに・・・あっという間に夏が来てしまった。ちなみに今日の気温は96度(摂氏36度)。東京のうだるような暑さに比べればそれでも大したことはないのだけれど、みんなに「本当の夏の暑さはこんなもんじゃない。湿度は100%だし!(今は27%)」と脅され、今から戦々恐々。
昨日の夜、どうもデスクライトがちらちらするなあ、もう電球きれちゃったのかしら、と思っていたら、Tinaがやってきて「ラジオで停電しそうだって言ってるから、コンピュータは使っちゃだめよ」と知らせてくれた。きっとみんな一斉にエアコン回し始めたんだろうなあ・・・今後に備えて早速懐中電灯用の電池を買いに走る。(ああ、短パンが欲しい!)
6月9日〜台所でおしゃべり〜
いつも6時半頃から夕食作りにとりかかるのだけれど、大体同じ時間帯にJanetteも台所にやってくる。最初は「地理学のPh.D.」ということもあって物静かな印象だったけれど、ちょっとふるととまらなくなるくらい、実はよくしゃべる。今日もラジオのニュースで銃規制について話していて、「そういえば最近、ベジタリアンのサイトが銃支持者らしき人物にハッキングされた」と持ちかけたら、それから彼女の研究室のコンピュータシステムの話になり、どうしてかグレイハウンドの停留所あたりでしつこくつきまとわれて怖かったということに進み、そこから彼女の新しい仕事の話、地理学にいかに女性の学生・研究者が少ないか、さらになぜだかドラッグの話題に移り・・・気がつくと2時間以上話がはずんだのだった。傑作だったのは、研究室にビキニ姿の女性のポスターが貼られていたのに対抗して、彼女(ただ一人の女性)が「プレイガール」の付録のポスター(ビキニ姿の男性)を貼った顛末。今日にいたるまで、2枚のポスターは依然として同じ場所に存在しているらしい。教授が彼女にその件で礼を言ったそうなのだけど、そういえばここはアメリカ、ゲイも多いんだった・・・。
これだけ長時間話していると、さすがにリスニングの集中力もとぎれがちになり、あらすじを追っていくのに精一杯。知っている限りの相槌を駆使してなんとか持たせたけれど、やっぱり一般人の会話は早いなあ・・・。
6月10日〜チケットがとれなくて〜
個人的に進めている「寿司」の取材で突然シアトル行きが決まり、あわててエアチケットの手配を始める。最初はCharlesがよく利用している旅行会社に頼めばいいだろう、安そうだし、と軽く考えていたら、なんと年会費($54)が必要なことが判明。うううん、と思いつつ、友達が教えてくれたインターネットの格安チケット情報をチェック。ニューヨーク〜シアトル〜ボルチモアがしめて$510、安い安いと思いつつページを進めていったら、最後の最後でクレジットカードの住所がアメリカ国内のものしか受け付けていないことが判明。これにかかった30分を返して!!それ以外にもいろいろと検索してみたけれど、安そうなところはどこも「アメリカ国内で発行されたクレジットカードのみ受付」で、まさに八方ふさがり。定価で買うと倍くらいするし・・・。にしても、アメリカンエアに電話で問い合わせた値段(700ドル台)とアメリカンエアのホームページの値段(1000ドル以上)が違うのはなぜ?? 何でも、アメリカの航空券は空きが少なくなると同時にどんどん値上げされていくらしいので、まさに時間勝負。明日、Johns Hopkinsの旅行カウンターにでも行ってみようかなあ・・・。(ああ、めんどくさい!!)
6月11日〜去っていくTamara〜
今朝アメリカンエアに電話をしたら、別の便だけどめでたく$510でチケットがとれ、まずは一安心。今日はTamaraがオフィスに来る最後の日なので、餅米もあるしお赤飯を炊いて持っていく。
Jeanieがピザとvegan アイスクリームをテイクアウトしてきて、お昼はちょっとしたパーティに。みんな珍しがってお赤飯を食べてくれ、これまた安心。(実は、自分でお赤飯を炊いたのは初めて。寿司に続いてやってみればなんとかなるものだ。)そして夜は、最近引っ越したDarの新居でホームパーティ。デジカメの電池が切れてしまったので、写真がとれなかったけれど、チップスにハマス、豆のディップ、揚げ餃子風、veganペパロニ、Taboulot(クスクスに似たもの)などvegan料理がずらり。
Tamaraに「今どんな気持ち?」と聞いてみたら「うーん、嬉しいのと淋しいのと半々かな」との答え。彼女はこれからもボランティアとしてVRGに関わってつもりらしいけれど(実際明日のイベントでも会うし)、これから接する機会がどんどん減っていくんだろうなあ。でも、とりあえずは彼女の新しい門出に乾杯!
6月12日〜お楽しみがいっぱい〜
今日はボルチモア郊外のオーガニックファームでVRG主催のピクニックパーティ。一人一品料理(もちろんベジタリアン!)を持ち寄るということなので、以前アジアンストアでみつけてそのまま冷凍庫に眠っていた餃子の皮でベジタリアン餃子を作って持っていく。焼きはさめるとおいしくないので水餃子に。50個くらい作ったけれど、帰る頃にはほとんどなくなるほどの人気。(やった!)
ピクニックでは、みんなでトラクターに乗って野生のブラックベリーを摘んで食べたり、近くの農家で飼っているヤギを見に行ったり、ハンモックに横になったり、と、アメリカンカントリーならではのお楽しみを満喫。こういうところで育つ子どもがうらやましい!(まさに「大草原の小さな家」の世界。)
出かける前に、Tinaが「今晩スターウォーズのレイトショーに行くけど一緒に来る?」と声をかけてくれたので、「行きます行きます!」とTina&Chuckのデートに便乗させてもらう。あんまりいい評判は聞いていなかったのだけれど、過度な期待を抱かなければ依然としてよくできた「エンターテイメント」(リーアム・ニーソンかっこよすぎ!)。「ああ、ここはこんな風につながるんだ」なんて第3部との関連もおもしろかったし、何よりこれからアトキン・スカイウォーカーがどうやって「ダーク・サイド」側の人間になってしまうのか、想像するだけで楽しい。こういう「わくわく感」を味わえるのだから、なんだかんだ言っても「スターウォーズ」は素敵な映画、ジョージ・ルーカスは偉大だ!
6月13日〜ミニ・シアター〜
City Paperでみつけて前々から楽しみにしていた、小津安二郎の映画が今週末上映。おちょこKは大の小津ファン。かかるのは「東京物語」と「お茶漬けの味」で、「東京物語」は何度も観たけど、ボルチモアで観るのもまた一興と思い、2本券を買うつもりで劇場にでかけたら、なんと「お茶漬けの味」はフィルムにトラブルがおきて今日は中止。(佐分利信、観たかった!)
上映館はCharles Theaterという、つい最近リニューアルされたばかりの映画館。小津の映画を上映するということでもわかるように(アメリカではKUROSAWAはかなりメジャーだけれど・・・)、東京で言えば「シネセゾン」や「ユーロスペース」タイプのミニ・シアター。「東京物語」が上映された部屋も200席くらいか、それでもお客は20人いるかいないかの入りで、小津ファンとしては淋しい光景。出だしのクレジットはなぜかフィルムの焦点がぼけて映され(しかも画面下の電気はつけたまま!)、音も出ないし「おいおい」と思っていたら、本編が始まる少し前にようやく通常の画面に。といっても、画面端にノイズが入りっぱなしの状態で、ちょっとひやひやしながら鑑賞。にしても、英語のサブタイトルのずさんなことといったら!!! 2/3くらいしか訳されていないし(いくらアメリカ人が字幕嫌いだからといって「手抜き」じゃないか?)、翻訳のしかたも「うーん、それはないだろう」と思わず首をかしげてしまうようなものが多い。(特に名前を呼ぶ時「Noriko」などと全部呼び捨てにしているのが気になってしょうがなかった。)それに、東山千栄子は脳卒中で死ぬなんて誰も言っていないのに、なぜか「Storoke」という単語が・・・。せっかくの名作がこれでどこまでアメリカ人に伝わったのか、非常に非常に不安。相変わらずの原節子の美しさにため息をつきながら、なんだか欲求不満になってしまった。
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