4月12日 〜おせちとは何か?〜
 3番目の原稿のテーマは「日本のお祝い料理」。渡航前、「日本の正月はこんなものを食べる」とCharlesあてのメールで書いたところ、「おもしろいから原稿にしてみれば」と言われて、トピックスのひとつに選んでいたのだった。前から、「こいつが一番難物だ」と締め切りも余裕を持たせていたのだけれど、いざ書き始めるとやっぱり難しい! 最初は、おせちばっかりだとちょっと季節はずれだし、外国人の口に合うかどうか不安だったので、赤飯やおはぎ、年越しそばとお雑煮のレシピを紹介しようと思ったのだ。どれもわりと簡単に作れるし、普遍的においしさをわかってもらえそうだし。が、日本人が行事の時にどんな料理を作るかの説明部分で、はたと筆が止まる。赤飯は「赤」が縁起物、年越しそばは「長寿」を祈って、お雑煮は餅そのものが「めでたい」。じゃあ、おはぎはなんでお彼岸に食べるんだ? 持参した各種参考書を片っ端からめくってみるが、どこにも説明はない。それに、これらの料理のどこに「日本ならではの特徴」があるんだろうか? まあ、縁起をかつぐ、というのはあるけれど。でも、ただ「縁起をかつぐ」だけじゃ、迷信深いだけだと思われちゃうし。どうせなら、日本人ってのはこんなにデリケートな感性を持つ、素晴らしい文化を培ってきた民族なんだ、というのを伝えたいんだけどなあ。(別に国粋主義者というわけではないけれど。)うーん、やっぱりおせちでまとめるのが無難かなあ。でも、おせちって今ひとつワールドワイドに訴える部分が少ないような気がするし・・・。しかも、Veganレシピだから、ごまめとかエビ、卵焼きは紹介できない! 人知れず、頭をかかえるおちょこKであった・・・。

4月13日 〜History of VRG その1〜
 どうもVRGの基本的な情報が自分に欠けていると思ったので、Charlesにインタビューさせてくれるように頼んだ。今までなかなか時間がとれなかったり(お互いに)、英語力の不足で聞きたいことも満足に尋ねられなかったりしていたのだけれど、逆に1ヶ月ほど内部にいて、様子をつかめた今の方がタイミング的には良かったみたい。聞きたいことが次から次へと出てきて、質問リストを作ってみたら、50以上にもなってしまった。「なんて言われるか」と恐る恐るCharlesに見せたら、「Very Good Questions!」のコメントが返ってきてホッとする。しかも、ライブラリーのファイルも見せてくれ、インタビュー前にここからかなり情報が探せそう。しかし、すごい量だ。(なんてったって17年分。)明日は、カーディガン持参で(ライブラリーは冷蔵庫なみに寒い)おこもりするぞ!

4月14日 〜春眠〜
 ここのところ、やたらと眠い。前は朝7時半に起きるのも平気だったのが、最近は8時頃までいぎたなく寝てしまう。最近確かにちょっと寝不足気味ではあったのだけど、にしてもだ。今日も夕食に、残り物のスープを片づけなきゃ、とちょっと食べ過ぎたせいか、ものすごい眠気が襲う。渡航直後の無理で風邪をひいた前科があるので、こういう時は「身体の声」に素直に従うことに決めており、そのままベッドに倒れ込む。夜中の2時頃目が覚めて、そのまま起きて少し作業をすればよかったのに、ようやくの思いでコンタクトだけ外して、また寝てしまう。変な夢をたくさん見て(明らかに寝過ぎ)、はっと気がつくと、8時半。「げっ、間に合わないじゃん」と思い、慌てて洗面所に行くと、コンタクトの片方がない!電気をつけずにコンタクトをはずしたからかなあ・・・スペアがあったからよかったようなものの、ちょっと気をひきしめなくっちゃ。まあ、気がゆるんできたせいも確かにあるけど、一応「春眠」がアメリカでもあてはまることにしておく。(自己弁護・・・。)

4月15日〜秘密の筍ご飯〜
 ワシントンDCの友人からもらった日本食、もったいないからとしまいこまずにどんどん食べよう!と、機会があるごとに使わせてもらっている。(あまっちゃったら、結局その方がもったいないし!)今日は、季節ということもあって、筍ご飯の素の箱を開けた。お米3合分なので、一人の夕食には全然多いのだけれど、VRGの人たちには分けてあげられないし(鰹だしが入ってるから。哀しいことだ)、余った分は冷凍してまたのお楽しみにとっておく。こっちで買ったお豆腐(堅い!でも料理しやすい)、お味噌、ワカメ、ネギ、それと本だし(これもベジタリアンじゃあないなあ)でおみおつけも作った。こっちのお味噌は異様にしょっぱいので量を加減したけれど、やっぱりおみおつけをいただくと気持ちがほっとする。インスタントとはいえ、筍ご飯も食べられて、幸せな気分。ルームメイトのJanettがちょうどキッチンで夕食を作っていたので少しお裾分けしたら、彼女も「今まで食べたBamboo shootとは違う」と気に入ってくれたよう。(こっちじゃ、中華料理の炒め物くらいでしか使わないから・・・本物の筍ご飯を食べさせてあげたい!!)こういう時に、ベジタリアンだと不便だなあ、とつくづく思う。(まあ、椎茸昆布だしで作れないことはないんだけど、筍はさすがにボルチモアでは入手できないし・・・。)おにぎりにして、お弁当に持っていくのはどうなんだろう・・・でも説明を求められたら、「これはBonitoが入ってるから、ベジタリアンじゃないの、ごめんなさい」って謝ることになるから、やっぱりダメか・・・。うううん、不自由だ!

4月16日〜大学祭その1〜
 今日から三日間、Johns Hopkinsの春の大学祭。Charlesの説明によると、Home Coming Festivalのようなものらしく、学生以外の団体もいっぱい出店していて、なんと臨時の遊園地まである、という、単なる「大学祭」とはちょっと違う趣。今日は雨が降ったりやんだりで客足も少なく、Charles&Debraの他には誰もスタッフがいなかったので、とりあえず「VRGインタビュー」を続けさせてもらう。まあなんとなく大意は理解できたけど、メモがどこまで記憶を呼び起こせるか・・・。英語の到達点の目標のひとつに、「英語でインタビューができるようになる」というのがあるので、いい練習にはなったけれど、もっと細かいデータが必要なテーマだったら辛いなあ、まだまだ。Charlesは基本的に話し出すと止まらない人なので、「質問に戻らせてもらうと」とか「話題を先に進めると」などの表現を覚えなくっちゃ、と痛感。
 夕食はものすごくお腹がが空いていたため、ゆでた豆とケール(キャベツの親戚みたいな野菜)、マッシュルーム、ベジタリアンソーセージ、といういかにもな「簡易ベジタリアン食」ですます。こんなメニューでも自炊にこだわるのは、試したい食材がたくさんあって(今日はケール)、そこらへんのピザとかサンドイッチをテイクアウトする余裕なんてとてもないから。(経済的理由ももちろんあるけど。)明日はファーマーズマーケットで何を仕入れてこようかな。

4月17日〜久々の膨満感〜
 日が差したかと思えば、雲が空を覆い尽くして風が吹きすさぶ、といった奇妙なお天気。おかげで昨日よりそれほど客足は伸びず、本の売れ行きもまあまあ、といったところ。ただ、今日はVRGのメンバーが7,8人ほど手伝いに来て、一気にブースはにぎやかになった。良い機会なので、おきまりの「どうしてベジタリアンになったのか」インタビューを3,4人にさせてもらう。聞いてみて思ったのは、動物愛護や倫理的理由からなった人たちはそれほど肉に未練は感じないようで、健康面の理由が主な場合はちょっと様子が違うのかな、といった印象をうけた。(詳しくは、Vegetarian Voiceをどうぞ。)
 夕食は、VRGのレストランリストでみつけた「Suzie's Soba」というお店へ。いったい蕎麦がどんなんなってるんだろう、と興味津々でメニューを見たら、「Stir-fried」(油いため)されている・・・ほうれん草としいたけの蕎麦を頼んだが、「うううん、蕎麦ってこんな風にされてしまうのね」とちょっと複雑な気分。風変わりなパスタ、って感じだろうか。(ちなみに経営はKoreanらしい。)パックリムと同じで、悪くないけどもっとおいしくできるのに、というのが正直なところ。
 同席のみんながFunks(Veganチョコレートケーキが食べられるカフェ)に行くというので、ついていく。前は半分食べるのがやっとだったのに(夕食をほとんど食べてなかったにもかかわらず)、今日は4/5くらい平気でいけてしまった。(SOBAで満腹だったのに!)頑張れば、全部平らげられたかもしれない。アメリカに来てから、あんまり大食いをしてなかったので胃が小さくなったかなあ、と思っていたけれど、今日はいったいどうしたことだ、と密かに驚く。

4月18日〜カルチャー日和〜
 今日は午前中と夕方しかブースの手伝いの予定を入れていなかったので、空いた時間にJohs Hopkinsの隣にあるBaltimore Museum of Artへ出かけた。ここは、マチスを主としたコーン・コレクションが有名なところ。中は思ったよりも広く、アメリカ絵画、ヨーロッパの宗教画、アフリカ美術など展示内容も幅広い。マチスのコレクションはちょっと印象が薄かったけれど、来月から展示内容が変わるそうなので、次回に期待することに。
 その後は、Tinaに教えてもらった大学祭のフィルム・フェスティバルに。ここの学生の作品というよりは、インディーズ映画のコンペティションのような感じ。2時間余りのプログラムで3つの映画を上映。ひとつは、ホモセクシュアルの仏僧の話。イメージは奇麗なんだけど、いかにも「西洋人の不思議な東洋解釈」で、笑いをこらえるのに苦労した。(なぜかロケ地は北海道。)2本目は、5分足らずの短さながら、印象は強烈。銀行強盗の話なんだけど、映像は全部銀行の外の風景でナレーションだけ内部の会話を録音、という低予算ならではの発想がヒット。どうってことない話なんだけど、奇妙に面白かった。こういうところで、センスの善し悪しって出るんだなあ、と実感。最後は、マンハッタンのアパートに同居する4人の男女の物語。これは「雰囲気」先行で、見ていてイライラしてしまった。まあ3ドルの入場料だからなあ。Tinaが観たのはもっと変なものだったというから(頭に穴を開けるとか・・・)、1本でもヒットがあれば良しとしなければいけないのかも。

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