3月1日(出発前) 〜早くもトラブル続出!〜 
 一度しまい込んだパソコンを出して、最後のメールチェックをしようとしたら「通信設定エラー」になってしまう。何がいけないのかまったくわからず、再起動したり、ジャックを取り替えてみたりしたが、結果は同じ。そうこうしているうちに、バッテリーの残りが少なくなったので、スーツケースの奥からアダプターをひっぱり出して充電・・・ダメもとで再度トライしたところ、今度はなんなくつながった。なぜだ! ライアル・ワトソンが言うように、コンピュータにもやはり感情があるのか!? 1時間近くの格闘で、朝からドッと疲れる。
 さらに! Delta航空にフライトスケジュールを問い合わせたら、18:00発が22:30発に遅れるとの答えが。ボルチモア着は、なんと23:30。予定通りなら、19:30に着いているはずだったのに! 慌ててチャールズ(私のスーパーバイザー)に電話。現地時間23:00なので、「どうかなー、出るかなー」とちょっとドキドキ。まったく、いきなり英語で電話する羽目になろうとは・・・。留守電になっていたのでメッセージを入れようとしたら、本人が出る。夜分の電話とこれまた夜遅くの到着になることを詫びながら、出迎えOKの返事をもらい、とりあえず安心。しかし、チャールズも昨日あたりロシアから帰ってきたばかりだろうに、彼らにしてみてもとんだ災難だ・・・。
 ・・・というわけで、家を出るまで5時間も間ができてしまったので、とりあえず、出発前の様子をリポートしておきました。はたして、無事にボルチモアにたどり着けるか、そしてパソコン君はアメリカでも機嫌良く動いてくれるのか、次回を乞うご期待!! (機内では爆睡するぞ!!)


3月1日
 無事到着!! ただ今、現地時間2時52分(夜中)。とりいそぎご報告まで。詳細は後ほど。

3月2日
 搭乗後はほとんど何の問題もなく、ボルチモア到着。機内は空いてたし、オーダーしたベジタリアン機内食はおいしかったし、入管も書類を見せただけでパスできたし、チャールズには無事会えたし。ロシアの孤児院から養子にやってきたばかりの赤ちゃんを起こさないように、忍び足で部屋に案内される。ひとつ誤算だったのは、私がステイする部屋についていたのがシャワーじゃなくバスタブONLYだったこと。なんか遠慮しちゃって使えないよなあ。頭も洗えないし。まあ、トイレがついてるだけでもよしとしなければ。聞けば、この家は築100年。とはいえ、内部の設備はもちろん現代的に整えられてるので、暖房はセントラル・ヒーティング。さすが。

 2日は7時起床。赤ちゃん(サミュエル)にお目見え。お目目ぱっちり、ブラウンヘアーのキュート・ボーイ。チャールズ&デボラ(もう一人のスーパーバイザー。チャールズの妻)は可愛くてたまらない様子。しばらくおつきあいするが、パソコンをつなぎたくて内心落ち着かないおちょこK。部屋にモジュラージャックらしきコードを発見し、ベッドをよっこらせと動かしてジャックのあるのを確認。ところが、ダイアル音はするのに一向につながらない。もうひとつの部屋のジャックも試させてもらうが、今度はモデム・エラーになってしまう。「オフィスでつなげば大丈夫よ」とデボラは言うが、それはそうなんだけど、早くメールを見たい&送りたい!! これでモデムを買わなきゃならないとかなったら、もうじれったくてならない。これだから、パソコンってやつは・・・!

 午前中は、サミュエル君の定期検診に同行。彼のように外国から養子に来てる子供をたくさん診察しているドクターがいるとかで、そうでないと「普通のアメリカ人の赤ちゃんより発育が悪い」と判断されがちなんだそうだ。

samuel
クリニックの待合室でおもちゃを眺めるサミュエル・ベイビー。さすがに色が白い!


 午後はオフィスに行き、スタッフと顔合わせ。みんな美人で素敵なLadyたちで、一安心。パソコンも難なくつなげて、メールチェックをする。宮ちゃん、亜矢ちゃん、竹下、早速メールくれてありがとう! それから、東中野からの「愛」も確かに受け取りました。(お返事はのちほど!)


3月3日 〜あわや、食いっぱぐれの危機〜
 実は、3食食べられたのは今日が初めて。昨日はバナナ一本と、スーパーで「この調子では何もあてがわれないのでは・・・」という危機感から入手したインスタントラーメン(玄米味。不味い!)のみ。あとは、機内食のピーナッツを寝る前、空腹に耐えられずに食べてしまった。といって、チャールズ&デボラが冷たいわけではなく、たぶん習慣の違いと赤ちゃんのことで忙しすぎるからなんだと思う。「アメリカでは何事も意思表示だ!」と痛感。今朝は、「グラノーラにかける豆乳をもらっていいか」「冷蔵庫の中から何か飲み物をとっていいか」と、とりあえず「意思表示」する。(もちろん"Sure!"という答えが返ってくるのだが・・・。)おかげで無事に朝ご飯にありつく。昼食は、オフィスのDavidaにコーヒーショップに連れていってもらい、「ここで買わなきゃ、また昼食抜きだ〜」とばかりに、サンドイッチ(もちろんベジタリアン用)をゲット。もう、生野菜が涙が出るほどおいしい。今日は、チャールズのお父さんがサミュエルに会いに来ていたので、「いくらなんでもディナーはご一緒できるだろう」と踏んでいたら、ありがたいことに、デボラが作ったベジタリアン料理を食べることができた。
 21時からモニカ・ルインスキーのテレビインタビューをみんなで観る。モニカやインタビュアーのバーバラ・ウォルタースの英語は95パーセント聞き取れるのになあ。ここの人たちはみんなものすごい早口で、リスニング能力がぐんと落ちてしまう。いつかこの人たちと「普通に」話せる日が来るのだろうか、と本気で心配・・・。

3月4日 〜アメリカ警察登場&「猫屋敷」〜
 朝起きたら雪が降っていた。昨日の夜は雨の音がしていて「今日はあったかい」とここの人たちは話していたのに。「想像してたよりあったかいな」と自分でも思っていたので、かえってボルチモアにやってきた実感がわく。
 午前中、用足しに出かけたデボラを待っていると、何やら興奮した様子で帰ってきた彼女。とこかに電話をかけて「盗まれたナンバープレートがどうこう」と言っている。一昨日、彼らが借りているレンタカーのナンバープレートが盗まれていたのだが、なんと彼女は信号待ちの時、まさにそのプレートをつけたぴかぴかの新車を発見したのだ。車を前に回して、ドライバーの姿形をしっかり覚えてきたそう。「きっと盗難車だ」とは彼女の推理だが、そんなこんなで警察に通報し、お巡りさん(がたいのいい、頭のよさそうな、黒人のおじさん)がやってくる。まるで、映画みたい! アメリカとはいえ、警察が家に来るなんてことはそうそうあるわけではないらしく、チャールズの父上も未だかつて経験したことはないとのこと。おちょこKも興奮しているのだが、上手く英語で表現する術がなく、ただただサミュエルと興味津々のまなざしでお巡りさんのすることなすことに注目。
 そんなこんなでオフィスについたのは10時過ぎ。メールをチェックするが、何もなくて淋しい。
 夕方、部屋を貸してくれるかもしれない女性の家を訪問。なんでも、最近離婚してルームメイトを捜す必要があり、ただし猫30匹と暮らしているので、なかなか一緒に住んでくれる人がいない、という状況らしい。「30(thirty)匹じゃなくて13匹(thirteen)では?」と半信半疑で訪れると、「No, I have three-zero(30)」の答え。まさに「猫屋敷」状態。彼女(Peggy)はVRGのメンバーで、やはり動物愛護の精神から可愛そうな猫たちをひきとっているうちにそんな数になってしまったのだそうだ。「よくこんなにたくさんの猫の世話ができますね」と言ったら「時々皆殺しにしたくなることもある」ほどやんなっちゃうこともあるそうだ。(そりゃそうだ。)Peggyはとってもいい人で、彼女とはうまくやっていけそうだけど、何せ猫30匹。さすがに臭いもけっこうきつい。ただ借りるとしたら家賃はたった300ドル、チャールズも「それは格安だ」と言う。とりあえず、2、3日、お試し期間ということでステイしてみることに。なんだか想像がつかないが、「面白そう」という気持ちが先に立つ。でも、しつこいようだけど、「猫30匹」。こっちにきてまだ4日目なのに、エキサイティングなことが立て続けにおこって、ほんと、映画がテレビドラマの中に放り込まれてるような感じがする・・・。

3月5日〜少々お疲れのご様子〜
 ふだんは7時前後に起きるのだが(日本に居た時では信じられない時間)、今日は8時まで寝てしまった。といっても、身支度をして朝ご飯(シリアル)を食べるまで30分もあればできてしまうので、オフィスに連れていってもらうまでけっこう時間がある。今朝デボラとVRGで書く記事の内容と締め切りの相談をする。ちょっと欲張って、5つのトピックスを選んだ。デボラが「どれも面白そうね」と誉めてくれて嬉しい。スケジュールが早め早めに設定してあるのはとにかく書いて練習するしかないから、と話したら、「そうね。あなたは今とてもよくやっていると思うから、たくさん書けばもっとスキルアップするわ」と言われ、なんだか知らないけど涙が出る。慌てて部屋に戻るが、なかなか涙が止まらず、「笑いをこらえる時には悲しいことを思い出せばいいんだけど、涙をこらえるにはどうすればいいんだろう」などと思う。
 オフィスで、Davida(VRGのリサーチ&ウェブ運営)が「日本のCDを聴かせて」と言ってきてくれたので、手持ちの日本のCD(5枚)を全部かけてもらう。さすがに言葉が違うとすぐわかるらしく、みんな「Hirokoの?」と聞いてくる。ボルチモアのベジタリアンのオフィスでSMAPが流れているというのは、妙な感じだ。それにしても”アイドル”って、なんて説明すればいいのかなあ。
 チャールズが、最初の原稿の直しをくれる。"Very Good!"のコメントで大安心。といっても、いくつかの直し(初歩的な文法ミスを含む)があって、説明を聞きに行く。「レストランで肉を抜いてくれ、と頼むのは、禁煙席があるかどうか聞くのと同じくらい普通のこと」というコメントの意味がわからない、と言われ、日本とアメリカの喫煙状況の違いにはたと気づく。日本ではアメリカほど喫煙者に厳しくなく、禁煙席があるのがあたりまえになってきたのはここ最近のことだ、と説明すると納得してもらえたが、「私はこういうことを伝えたいんだ」というのをEditorにわかってもらう作業は、雑誌の編集者をやっていた時とまったく同じだ。こういう場になると、それほど流暢でなくても、いつもより自信をもって話せるから不思議。
 ランチにテイクアウトしたトルティーヤがたっぷりあって、罰当たりなことに今日はお腹がいっぱい。そのせいか、4時頃ものすごい眠気がおそう。日本時間では朝6時頃か。Davidaがせっかく親切にメールチェックのやり方を説明してくれているのに、眠いのをなんとか悟られないようにするだけで精一杯・・・。今これを書いているのは、夜の8時。ひたすら眠い。今日は早く寝よう。あ、でも毛布がない・・・。チャールズたちはもう寝ちゃったし、ダウンジャケットで代用するか・・・。

3月6日 〜DAIKON並びにSATOIMO発見〜
 午前中、週末遊びに来ていたデボラの両親と一緒に近所のファーマーズ・マーケットへ行った後(安い!じゃがいも一籠1$)、オリエンタルストアに案内してもらう。小さな、ちょっと汚い店。がしかし、いきなり目的のものを探して興奮する。DAIKON&SATOIMO! 昨日見せた原稿の中でそれらが出てきて「これはアメリカでも買えるのか?」とチャールズに聞かれたばかりなのだ。ところが、デボラのお母さんは「DAIKONでしょ?知ってるわ。家の家庭菜園で育ててるもの」とおっしゃる。(さすがにSATOIMOは知らなかった。)これなら「オリエンタルストアで手に入る」って書けるぞ。午後、チャールズたちの家の近所を散歩中にみつけたスーパーにはなかったから、やっぱりかなり特殊な野菜なんだろう、ここでは。
 洗濯をすませ、散歩をする。ほんとに歩いてる人が少ない。セブンイレブン(有り難や!)で地図を買い、だいたいの位置関係をようやく把握する。歩いてみると、ジョン・ホプキンス大学やマチスのコレクションのあるボルチモア美術館もすぐそば。素敵な公園もあって、お天気の良い日には最高に気持ちよさそう。大学の方にはカフェなんかもけっこうあるし。
 夜、Peggyのボランティア活動に同行する。"catch cats"とは何をしてるのか話だけでは今いちわからなかったけど、野良猫をつかまえて避妊手術をさせ、これ以上猫が増えないようにするそうだ。「彼らにはかわいそうだけど、そうしないとむやみやたらに殺されてしまうから」とは彼女の弁。PeggyはAnimal Rescueという団体のボランティアをしていて、今日はPetsmartという大手ペットショップの「飼い主求む」コーナーの猫たちの餌をとりかえたり、掃除をしたりする。ここの猫たちはみんなよく世話されていて、「ちょっと餌をやりすぎだと思う」とPeggy。しかし、でかい店だ。棚にアメリカンサイズのペットフードがガンガン置かれていて、一瞬たちくらみがするほど。
 ちょっと風邪気味なので、今日は早く寝ます。(と言っても、現在11時。)

3月7日 〜猫屋敷滞在〜
 あまり調子が良くないが、英語の教材とポストカードが早急に欲しかったし、何よりダウンタウンの様子を知りたくて、昼前に出かける。CITIBANKからお金も無事おろせて安心。結局、Barns&Nobleで3時間も過ごしてしまう。スターバックスもあるし、なんてったってイスが居心地いい。そのあと、アムトラックの駅まで30分近く歩く。(いつか行くぞ、ニューヨーク&ワシントンDC。今夜はDCでストーンズのライブがあるんだよなあ。ああ、もう少し早くこっちに来てれば観に行けたのに!)それにしても日曜日のせいか、人通りが少ないし(ハーバーは別)、店はけっこう閉まってるし、タクシーもあんまり走ってないし、これは車がないとやっぱり辛いかも・・・。

猫屋敷
 夜は猫屋敷に体験ステイ。Peggyがすっかり家をきれいにしてくれたせいもあって、前ほど臭いも気にならないし、猫たちも見てるとおもしろい。30匹の猫、という状況に早くも慣れてしまったのか? まだ借りられるかどうかわからないけど、なんとか大丈夫そう。Peggyの料理もおいしいし!今日も大事をとって早く寝ようっと。(と書いてる間にも猫がスリスリしてきます。今日も11時だ!)


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